同じ劇を1日3回観ても大丈夫〜「携帯小説家」〜

サンシャイン劇場 劇団ゲキハロ第4回公演「携帯小説家


いまさらながらの「携帯小説家」なんですが…


舞台は毎日微妙に異なっているわけですが、
月曜公演で、他の日とちょっと趣が異なっていたのは、
吉原先生が切れる場面、「ぜんっぜん違うわよっ」っていうところが、
柔らかめのトーンになっていた。足をドンと踏み鳴らすのもやらなかった。
あそこは場内の空気が凍りつくところで、
初日に見たときは「おいおい」と思いましたが、
あの日だけ違ったのは、意図的に変えたのか、それとも単なる演技のムラだったのかわかりませんけど、
でもそれだけで、劇全体の雰囲気が変わっていた。
空気がやわらかくなって安心して観ていられた、といえばそうなんだけど、
でもその一方で、後半全体がひどく冗漫になってしまっていた。
それでなくても、多くの方が指摘されているとおり、
後半は吉原先生の長口上だけで劇を成立させていて、肝心の℃-uteメンはほとんど突っ立ってるだけという、
本作の問題点がかえって浮き彫りになってしまったわけです。
あの怒りの緊張感があってこそ、前半の狂騒状態とのバランスがなんとか取れていたわけで、それを取っちゃったら何にもならないという…
難しいものです。


終盤で、吉原先生があやまるアキヨシをなぐさめる部分が加わったのは、火曜公演ぐらいからで、最初の頃はなかったと思うんだけど、たぶん。俺が覚えてないだけかな? ちがってたらすいません。
っていうのは、あのなぐさめがあってようやくアキヨシが最後に明るく振舞っていることに納得できるわけで、あれがないと、問題引き起こしておいて、それはないんじゃないの?ということになってしまう。
それでなくても登場人物の造形は、アキヨシがいちばん甘くて、コメディリリーフかとおもえば、重度のmixi厨だったり、最初見たときはいくらなんでも支離滅裂ではないかと思ってたんで。


メンバーごとの感想


千秋楽で、あいざわさんが舞美さんに花束を渡すときに、
「尊敬する、矢島舞美」といっていたのが印象的でした。
キヨカが吉原先生と相対するときに、マジ泣きしていたと、質問コーナーであいざわさんがいってましたが、それは当方も双眼鏡で確認済み。本当に涙を流していた。
最終日で朝公演から泣いちゃったのも、それだけ気合が入っていたのか、プレッシャーを感じていたのか。特に後半はストーリーに絡むのは℃-uteメンでは彼女だけだし。
いろいろとたいへんでした。がんばった。ごくろうさん。


でも、前半の怒りんぼキャラは、「寝る子」のときと重なっちゃった感じで、
そこんとこは不満。もっと他の役柄も見てみたい。
たとえば、今回で言えば、吉原先生の下積み時代の奥さん役とか。
ああいう薄幸そうな役って、舞美さんにやらせれば絶対ハマると思うんだけどな、だめかな。


くりかえしになるけど、千秋楽の挨拶での泣いてる愛理の顔がいまだに脳裏に焼きついてはなれない。
フニャフニャで、まるで赤ん坊のようだった。
もともと童顔だけど、一方で精神的にはタフな人だから、そういう印象が薄い。
あぁ!の頃ですら、あんな表情は見せたことはなかったと思う。
愛理の「ゼロ地点」を垣間見たような…


でも、役の上では、「寝る子」のときみたいな見せ場は少なかったし、
ちょっと扱い軽くね?という感じだったな。
まあ、制服もドレスも似合っててよかったですけど。


芝居、好きなのかな。
実際、ゲキハロでは前回も今回も生き生きしてて印象に残る。
あいさつでも、脚本を読み込んでいるといってたし、
もともと読書家なんで、この作品ではいろいろ考えることもあっただろうし。
小巻登場シーンも毎回趣向を変えてがんばってた。
他の役者さんたちによる質問コーナーでも、ぴょんぴょん飛び跳ねてて、
たぶんいちばん受け答えがうまかった。
あれで、何気にアドリブが効くことが判明したな。舞台度胸があるというか。
25日夜公演では、最後の場面でなぜかなっきぃが出てくるのが遅れたんだけど、
舞美さんといっしょに速攻で穴を埋めたし。
最初の頃は、なぜか「夢のまた夢だよ」がうまくいえなかったりもしたけど。



後半になって、冒頭の登場シーンの写真差し替え。
髪を切ったからだけど、考えてみりゃ、これも本来はまずいはず。
個人的には、それは別にどうでもいいんですが。


台詞まわしがうまいとはいえないんだけど、
あの舌っ足らずの口調には、なんともいえない独特の不思議な魅力がある。
2回あるヒロシとの絡みのシーンは毎回楽しみだった。
来年は、マイマイもいよいよ中2。
これからどうなるかね。


何気に、今回は、ストーリーを進めていく上でアクセントになっている役。
上げ子もそうだけど、℃-uteはけっこう梅さんで持ってる部分も少なくないと思う。
もっとみんな感謝しなければいけない。


今回は、いちばん割り食っちゃった感じだなあ。
おちゃらけてるときより、中盤〜後半のシリアスな演技のときのほうが、出番は少ないけど、実はよかったように思う。
思い切って、暗い性格の子とかをやらせてみると、おもしろくなるかも?


なっきぃについては、また項を改めて書きたい。