斎藤環 「「負けた」教の信者たち-ニート・ひきこもり社会論」

「負けた」教の信者たち - ニート・ひきこもり社会論 (中公新書ラクレ)

…私は、現在のメディア論のあり方に、一貫して違和感と危機感を感じてきた。メディア論においては楽観論と悲観論が共犯関係のように手を結んでいる。要するにいずれの立場をとるにせよ、「メディアは人間を変える力を持っている」という前提だけは、なぜか自明のごとく共有されているのだ。
 私は一貫してこの前提に異議を唱え、メディアが「人間」に対していかなる本質的な変化ももたらすことはないと主張し続けてきた。(p.8)


「OK?ひきこもりOK!」での上野千鶴子の、あまりに社会学的にナイーヴな発言に対するカウンター。もっともこの本の内容は時評をまとめたもので、斎藤メディア論の本格的展開は、『インターコミュニケーション』での「メディアは存在しない」の完結を待つべきか。

OK?ひきこもりOK!